シリンダーバルブのシール性

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シリンダーバルブのシール性

2020/03/04

シリンダーバルブは取扱いガスをシリンダーと呼ばれる容器に導入しかつ排出する役目をしています。そのメカニズムは入り出する時のガスの圧力差と逆に流れない構造を設けることでその働きは果たされます。バルブ内には複数の小さなスプリングが設けられており、ガスが逆に流れないための目的とバルブプレートというガスが漏れないためのリングあるいは板状の部品が激しいガス流体の荷重により損傷しないよう緩衝の役目を致します。このスプリングの強さは各メーカー様のKow-Howでバルブ設計の需要なポイントです。ガスの流体荷重に対しどのくらいの強さにすれば良いのかということなのです。弱過ぎればガス流体の衝撃力によるバルブプレート損傷の発生頻度は大きくなるし、逆に強過ぎればバルブプレートは十分にリフトしないということになります。その設計目的は運転中のガス流体、バルブプレート、スプリング3者の最適な関係を求めることなのです。

それではバルブのシール性とはなんでしょうか。もともとシリンダーバルブの構造はガスが逆流しない構造になっています。あとはバルブプレートとバルブ本体シート間のシール性ですが、各メーカー様のシール基準はいたってシンプルなものでオイルをはって何秒間の内に漏れた量が基準以下なら合格というものです。これは運転中は常に圧力の高い上流から下流にむかってガスはながれているのであり、それが途中で逆流することはないわけで、但し、バルブプレートが損傷し穴が開いていれば話は別ですが、ピストンの動きも最低5~6㎐で作動しているので、漏れという現象に対しては高速ですし、それほど厳密なシール性は必要ないのです。
ところがここに問題が発生します。コンプレッサーの試運転、定検終了後、トラブル停止後の立ち上げ時の停止状態での気密試験時、下流の高圧領域からガスが低圧側へ漏れる現象が発生します。もちろんバルブプレートのシール性が弱いことにありますが、メーカー様によっては最終段吐出側の配管に逆止弁つけているケースもありますが、大半は逆止弁がない場合が多いので、中間段の安全弁が吹くという事態になります。大半のユーザー様は停止時でなく運転時に気密試験を施行されていますが、停止時施行にこだわるユーザー様がいらっしゃいます。
そうなるとバルブのシール試験を現地でやるようになったり、それはユーザー様もメーカー様も大変なコストと労力を費やします。停止中のシール性を上げようとすればスプリング力を上げればもう少し改善されるかもしれませんが今度は運転中のバルブプレートの動きは十分なリフトが得られず、リフトが下がった分ガス流体の速度が上がり、バルブ通過時の圧力損失が上昇し流量が下がるという事態に陥るでしょう。レシプロコンプレッサーのシリンダー構造を基本的に変えるイノベーションが起きない限り上記のような問題は残ります。

 

 

 

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