稼働時の発生荷重

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稼働時の発生荷重

2020/06/01

 往復動圧縮機はモーター等の駆動機によってクランクシャフトを回転しそれに繋がるコンロッド、クロスヘッド、ピストンロッド、ピストンを10Hz近い周波数で一定間隔往復させて各種ガスをシリンダー内部で圧縮し昇圧して後方へ押し出す機械です。この時機械内部で2種類の荷重が発生します。それがピストンフォースと慣性力です。
 ピストンフォースとはガスフォースとも言い、ガスを圧縮する時に受ける荷重です。 一方、ピストン、ピストンロッド、クロスヘッド、コンロッド等の重量物が運動することによって発生する荷重が慣性力です。これらの部品が往復することによって生じる慣性力を往復動慣性力、一部のコンロッド及びクランクシャフトアーム部が回転することによって生じる回転慣性力が有ります。
 駆動機による回転運動を往復運動に変換する個所がコンロッドとクロスヘッドをつないでいるクロスヘッドピンでこのピンに掛かる荷重を受け止めるクロスヘッドピン軸受があります。クロスヘッドピン軸受が受けるピンの回転角は小さいので場合によってはピストンフォースと慣性力の合力によって常に軸受の同じ箇所でピンが摺動することになり、潤滑油の供給が不足し軸受損傷に繋がります。この軸受、過去に多くのトラブルが発生し設計に際してはピンとの接触領域が反転するよう細心の注意を払うところです。特にダブルアクティングの場合、ハーフロード時反転しないケースが多いので気を付けなければなりません。
 圧縮機構成部品の受ける荷重を分類すると、
 1.シリンダーケーシング、クロスガイド筒、フレームケーシング
   ・・・ピストンフォース
 2.ピストン、ピストンロッド、クロスヘッド、クロスヘッドピン(軸受)、
   コンロッド、クランクピン(軸受)、クランクシャフト、主軸受
   ・・・ピストンフォースと慣性力の合力
 3.基礎ボルト・・・慣性力

 ピストンフォースは圧縮機内部で釣り合って外部には出てきません。外部に出てくるのは内部で稼働しているピストン等の運動慣性力で、この慣性力が基礎ボルトに伝達されこれをコンクリート基礎でがっちり支持します。従ってこの基礎ボルトは非常に大事で経年変化で締め付けナットが緩んだり、コンクリートと遊離したりしないよう日々の監視が重要です。ピストンフォースと往復動慣性力はほぼ逆方向なので各軸受の負荷は多少軽減されます。

 ところでピストンフォースが圧縮機内部で釣り合うというイメージは、一方でフレームケーシング内のクランクシャフトが主軸受を押し付け、他方のシリンダー内でガス圧が張った状態を思い描けば良いかと。相反する荷重がプラスマイナスゼロになるわけです。(但し、慣性力は残ります)

 

 

 

 

 

 

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